【ESD 学校設定科目 地域課題探究 其の四】
『地域イベントコース』の5時間目と6時間目の授業について
前期中間考査が終わった翌日の6月12日、「地域イベントコース」では、夏の小ミッション「ひだしん前発展会さんとの夏まつり」開催に向けて、同発展会さんとの作戦会議を行いました。この日来校いただいた発展会代表の4名の皆さんには、生徒が事前に話し合った質問事項の一つ一つに丁寧に答えていただきました。
・Q1.今年の夏祭りのテーマは?/Q2.どんな人に来てほしいか?/Q3.夏祭りを通して伝えたいことは?/Q4.これまでの夏祭りの内容は?/Q5当日のスケジュールは?/Q6緊急時の対応は?/Q7高校生にどんなことを期待するか? など
最後に、「吉城高校、ここにあり!という姿を見せてほしい!」という熱いエールをいただき、第1回の作戦会議を終えました。
それから1週間後の6月19日は、前回行った作戦会議を振り返って、「発展会さんの夏祭りに対する熱意を感じた。自分たちにしかできない企画を実行して盛り上げていけるよう、1回1回の授業を大切にしたい!」という想いを共有しました。
そしていよいよアイディアを出し合いました。作戦会議前から考えていたアイディアを、ヒアリング内容を反映しながら、付箋に書き出し、共有していきます。それらを大きくカテゴリーに分けるところまでは順調だったのですが、その先に進もうとしたところで、生徒の動きがピタリと止まってしまいました。この時間の進行を担当していた生徒も、それを観守っている教員も、何をどのように決めていくといいのか分からず苦しい時間が過ぎていきました。
そんな空気を一変させたのが、昨年度のリーダー活動でリーダーを務めた稲木さんでした。1年生と2年生が混じるように、14名の生徒を3つのグループに分け、「この3つカテゴリーの中の一つを自分たちのグループが担当することになったとしたらどうするか。このグループはこのことについて、このグループはこれ、このグループはこれについて3分で話してみよう!」と指示しました。そうすると、生徒たちの表情は柔らかくなり、距離も近くなっていました。他のメンバーが考えたアイディアを尊重しながら、話を深めていく生徒の様子には担当職員もビックリしていました。
「誰かが決めるのではなく全員で総意(納得解)を見出すこと」などの手法は、いろいろな場面で繰り返し体験することで、理解を深め、身に付けられるもので、初めから出来ないのは当然です。稲木さん自身も一つ上の学年のリーダーに、そのリーダーも一つ上のリーダーに憧れ、それを目標にして取り組んできました。この日、稲木さんが与えたものは、生徒の中で少しずつ大きく育っていくことでしょう。
今年度は、担当職員間に大きな変化が起こっています。昨年度までは課外で行っていたリーダー活動が課内の教科になったことで苦労は多いですが、悩むからこそ対話が重なり、結果として担当職員自身の深い学びに繋がっています。「教えることは学ぶこと」この言葉の意味を改めて実感しています。教えるだけではなく、場を作り、寄り添い支援する役割を、どのように果たしていくか。人と集団が成長する場の探究は続きます。