国立研究開発法人国立環境研究所 生物多様性領域 生態リスク評価・対策研究室室長の五箇公一氏をお招きして、全校生徒を対象にした講演会と希望者生徒に対する座談会を実施しました。
講演会では「人間と野生生物、絶滅するのはどちらが先か?~自然共生社会の未来を考える~」と題し、五箇先生が生き物好きで昆虫採集や飼育をしていた子供の頃のお話から、大学時代にダニ研究に没頭したこと、就職した企業ではダニ退治用の農薬開発に携わったこと、そして、現在勤務されている国立環境研究所でかかわってこられた数多くの研究について、生物多様性の視点からお話しいただきました。国立環境研究所でのご研究や現在取り組まれていること、また、今後心配されることとして以下をご紹介いただきました。
・日用品に魚の催奇性を生じさせる化学物質を発見。
・日本の両生類がカエルツボカビに耐性があるのは、日本の風土で長い年月にわたり共生関係を築いてきたから。
・ヒアリをはじめグローバル化とともに増える外来種問題とその対策実践
・アライグマによる狂犬病ウイルス媒介のリスクの高まり
・森林開発により進む新興感染症の拡大(ウイルス感染が野生動物から人へ変化する)
・生態系保全のための地産地消の重要性
ご自身の研究活動に裏付けされた自然観・世界観と先生ご自身の魅力に終始圧倒されましたが、厳しい地球環境の現実を知ってもなお、五箇先生の発するメッセージをしっかりと受け止め行動したいと思える時間となりました。
座談会には、環境科学などに興味がある生徒を中心に1~3年次生約60名が集まりました。生物学についての一般的な質問をはじめ、先生のご研究や研究職についての質問、また、テレビ出演されるようになった経緯についてもご回答下さり、楽しく大変有意義な時間となりました。