「平成26年度の研究」ページ  ◇◇◇中学生向け教材◇◇◇

「ビジネス基礎」の導入部分でもある、商業教育の意義をわかりやすく伝えられる教材の作成

 これまでも「商業教育とはどのようなものか」を中学生向けに作成したパンフレットなど、いくつか作成されてきたと思うが、商業科目、進路、部活動などの情報を限られた紙面の中に詰め込むことになり、文章中心の固い内容のものになってしまう傾向があるように感じている。 教科「商業」の魅力をシンプルに、誰にもわかりやすく伝えたい。また、将来の進路選択の良い判断材料にして欲しいという思いで取り組んだ。

現状の把握

 中学生が教科「商業」についてどのようなイメージをもっているのか、私たちと中学生の間にどれほどのギャップがあるのか、現状の把握のためにアンケート調査を実施した。 アンケートの対象は、専門委員会に参加されている先生方の勤務校(11校)、商業科の1年生の生徒、1,552名とした。

Q1結果グラフ

Q1.「商業」とは何か(どのようなものか)、知っていましたか?

1.はい 708人 45.6%
2.いいえ 844人 54.4%
合計 1,552人 100.0%

Q2結果グラフ

Q2.「商業」と聞いて、どんなイメージをもっていましたか?(複数回答可)

1.よくわからない 197人 5.9%
2.難しそう 773人 23.0%
3.楽しそう 104人 3.1%
4.堅そう 310人 9.2%
5.資格がとれそう 965人 28.7%
6.進学に有利 178人 5.3%
7.就職に有利 803人 23.9%
8.その他 30人 0.9%
延合計 3,360人 100.0%

Q3結果グラフ

Q3.商業高校に入るきっかけは何でしたか?

1.系列・コースに興味を持った 336人 21.6%
2.部活 462人 29.7%
3.進路を考えて 631人 40.5%
4.その他 128人 8.2%
延合計 1,557人 100.0%

Q4結果グラフ

Q4.「商業科目」にはどんなものがあるか知っていましたか?

1.はい 630人 40.6%
2.いいえ 922人 59.4%
延合計 1,552人 100.0%

Q5結果グラフ

Q5.Q4で「はい」と答えた人で、商業科目はどんなイメージですか?(複数回答可)

1.よくわからない 52人 4.0%
2.難しそう 354人 27.3%
3.楽しそう 51人 3.9%
4.堅そう 87人 6.7%
5.資格がとれそう 376人 29.0%
6.進学に有利 89人 6.9%
7.就職に有利 285人 22.0%
8.その他 4人 0.3%
延合計 1,298人 100.0%

教科「商業」の認知度をあげる戦略

 生徒は教科「商業」に対するイメージが難しいものと感じており、商業科目の内容、進路状況についても理解が不十分なまま入学してきていることが読み取れる。  この現状を真摯に受け止め、なぜ教科「商業」は理解されていないのか。この点に焦点をあて、正しい情報を分かりやすく発信する方法を考えた。
 教科「商業」について中学生に対してPRする際、視覚的なインパクトが弱くイメージ戦略に弱いことが考えられる。よって「難しい」「堅い」というイメージを取り除き、認知度を上げるための戦略を考えてみた。


  • 柔らかいイメージをのもの
  • 目で見て、想像し、理解しやすいもの
  • ストーリーが描きやすいもの
  • コミュニティーを形成しやすいもの

 これらの意見から、教科「商業」をイメージ付けるために役立つ新しいキャラクターを考えてみることにした。
 世の中を見渡すと、近年のゆるキャラに代表されるようにキャラクターへの需要が高まっていることがわかる。人気キャラクターが無数に存在するなかで、ただ思いつきでキャラクターを作りさえすれば良いものではない。 キャラクターを効果的に使うために、かわいい、楽しいなどの感覚的な評価だけではなく、妥当性が高く誰にでも分かりやすく、誰もが納得するようなものにするためには、どのような事を考えていくべきか「キャラクター戦略」について調べることにした。

「キャラクター戦略」について

 実社会の中でのキャラクターの現状をみてみると、キャラクターが増え続けている時代背景の中で、キャラクター同士の差別化を行うためにも一つのコミュニケーション戦略として考えていくことが重要視されてきているようだ。企業のキャラクターをみてみると、従来から企業コミュニケーションの手段として盛んに行われてはきたようだが、個人の暗黙の状況下で使用されることが多く、組織として体系化がなされてこなかったという事実があるらしい。 では、実際にどのようにキャラクターの設定を考えていけばよいのか。以下の4点を挙げ、今後の課題としたい。

secret

  1. フォルム(形状)
     長く愛され共感を得るためにはどうすべきか。
  2. キャラクターの性格および世界観
     キャラクターを差別化するために、個性を持たせて磨いていくにはどうすべきか。
  3. キャラクターの露出方法
     キャラクターの浸透を目指して露出を最大化していくにはどうすべきか。
  4. キャラクターの育成
     開発したキャラクターの機能を損なわないようファン化させるためにはどうすべきか。

 キャラクターの設定を考えたら、次はその効果的な利用方法について研究していく予定である。中学生向け教材の作成にあたり、キャラクターを利用することは、中学生、保護者および中学校の教員に、教科「商業」を理解させ、興味を持たせるために大変効果があるものだと信じている。引き続き研究と実践を重ねていきたい。