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校長室より

校長室にて
校長 兒玉 哲也

この子らを世の光に


 3年前から我々を苦しめてきた新型コロナウイルスについては、5月8日に感染症法上の位置づけが5類感染症に変更となりました。これまでの間、様々な活動が制限され、児童生徒の皆さんにとって十分な学習活動を行うことができない状況にありましたが、今後は、コロナ禍前のような活動がたくさんできるようになるのではないかと期待しているところです。
 さて、「障害福祉の父」と呼ばれる糸賀一雄先生をご存じでしょうか。昭和中期に滋賀県職員として活躍された方で、「近江学園」や「びわこ学園」など、滋賀県内に多くの障がい児者の施設を整備されました。糸賀先生の有名な言葉に「この子らを世の光に」があります。障がい児者に施しを与えるという意味の「この子らに世の光を」ではなく、障がい児者が地域社会の真ん中でいきいきと活躍し、その輝きで社会を明るくしようという考え方です。現代の「インクルージョン」に通ずる考え方だと思います。新型コロナウイルスへの対応が緩和されていく今後は、地域に積極的に出掛けて行って、児童生徒全員が光り輝くような学校運営を行っていきたいです。
 最後に、昨年度の高等部卒業生の動向をお知らせします。理療科を卒業した2名が国家試験に合格しました。また、普通科を卒業した2名のうち1名が企業に、1名が生活介護施設に進みました。これからも地域社会の真ん中で光り輝くような活躍をしてくれると信じています。
PTA会報「梅ヶ枝」第178号(令和5年7月21日発行)より

「聞く 知る 盲学校」

  岐阜盲学校は、1894(明治27)年、「岐阜聖公会訓盲院」として開校し、今年度130周年を迎える歴史と伝統のある学校です。当校は、岐阜市役所や岐阜市民会館にも近く、岐阜市の中心に位置します。学校のすぐ北には清流、長良川が流れ、東の空には斎藤道三(さいとう・どうさん)や織田信長(おだ・のぶなが)の居城であった岐阜城がそびえ立ちます。また、学校周辺には、保育園や中学校、視覚障害者生活情報センターなどがあり、地域との交流や連携を図りながら学校運営を進めています。
 さて、3年前から我々を苦しめてきた新型コロナウイルスの位置付けが変更となったことを受けて今年度は、できる限りコロナ禍前のように、校外での体験的な活動や学校祭などの集団的な活動を積極的に行っています。このような中、今回は新たに取り組んでいる活動をいくつか紹介したいと思います。
 初めに、理療科の取り組みです。校内での臨床実習や職場見学などについては、年度当初からコロナ禍前と同じように実施できていますが、当校の理解啓発を目的として校外での新たな取り組みを始めました。
 一つ目は、県庁における理療施術実習です。専攻科2、3年の生徒が、県教育委員会の幹部をはじめ職員などにマッサージを行いました。併せて、当校教員が、来庁者や県庁職員を対象にクイックマッサージを行いました。たくさんの方からご好評をいただいたので、今後も継続して実施したいと考えています。
 二つ目は、大学祭への参加です。県内の大学にヘルスキーパー制度の導入依頼に訪れた際に、参加のお誘いをいただいたのがきっかけです。学生、大学職員、学園祭に出店している企業の方など80人を超える方々にクイックマッサージを行いました。今後も機会を見ながら、このような理解啓発活動を進めていきたいと考えています。
 次に、鵜飼(うか)い体験の取り組みです。地元の観光団体から長良川の鵜飼いとダイアログ・イン・ザ・ダークを融合することができないかというご提案をいただき、高等部普通科の生徒が、鵜が水に潜る音、川を渡る風、かがり火のにおいや温かさなど、視覚以外の様々な感覚で鵜飼いを楽しむことにチャレンジしました。来年度は観光客がアイマスクを付けて鵜飼いを楽しむ企画も計画されているようですので、当校としても、できる限り協力していきたいと考えています。
 そして、文化祭の取り組みです。今年度は保護者や同窓生も1日を通して参加いただけることとしました。学部ごとのステージ発表も全員で参観でき、スタートの小学部から体育館は大いに盛り上がりました。また、今年度130周年を迎えるにあたって、運動場で参加者全員による「130」の人文字の撮影会を行いました。その他、理療科のクイックマッサージや部活動発表などもあり、児童から成人の生徒まで一体となって、にぎやかな雰囲気が戻ってきた感じがしています。
 最後になりますが、今年度、校内に「打って出る岐阜盲学校実行委員会」を立ち上げました。児童生徒数減少に伴う様々な課題を踏まえ、地域の中で児童生徒、そして卒業生が生き生きと活躍できる機会を地域と共に創り出していきたいと考えています。
毎日新聞社「点字毎日」第5175号(令和6年1月23日発行)より

「今年度 岐阜盲学校は130周年を迎えます」


 岐阜盲学校同窓会の皆さん、同窓会誌「星影」の読者の皆さん、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
 この4月に校長として赴任しました兒玉と申します。この学校に勤務するのは初めてですので、4月から新鮮な気持ちで勤務させていただいています。例えば、朝8時になると校長室横の昇降口から「ピーンポーン」とチャイムが鳴り始める。廊下は右側通行をする。自分のことを「校長先生」ではなく「校長」と言う。お昼の放送の生徒の声がさわやかである。舎生は夕方に買い物などの外出ができる。当校は今年度130周年を迎える。・・・などなど、岐阜盲学校あるあるは数え切れませんが、一つ一つに驚きつつも、一つ一つを自分のものにしようと努めているところです。
 さて、3年前から我々を苦しめてきた新型コロナウイルスについては、5月8日に感染症法上の位置づけが5類感染症に変更となりました。これまでの3年余りの間、入学式・卒業式や学校祭などの集団的な活動や校外での体験的な活動が制限され、児童生徒にとって十分な学習活動を行うことができない状況でしたが、今年度は、感染対策は行いつつも、できるかぎりコロナ禍以前のような活動を行っていきたいと考えています。
 7月には、県外での活動がたくさんありました。岡崎盲学校で行われた「中部地区弁論の会・お話の会」に、高等部1人、小学部2人が参加しました。初めての場所でも堂々と話をする姿を見て目頭が熱くなりました。
 また、フロアバレーボール部が東海大会に静岡まで遠征してきました。惜しくも決勝戦で敗れましたが、1時間を超える熱戦にたくさんの感動と勇気をもらいました。さらには、高等部普通科が修学旅行で広島方面に、中学部が宿泊学習で浜松や美濃加茂に行ってきました。みんな元気に参加することができ、たくさんの思い出を作ることができました。
 理療科の臨床実習も再開しており、地域の皆様に患者としてお越しいただいて、理療の技術とコミュニケーション能力の向上に努めているところです。
 この原稿を書いている今は、夏休みを迎えたところですが、コロナの感染者が増加してきているというニュースをよく聞くようになっています。2学期が始まるころには、なんとか収まっていてほしいと思います。また、今年度末、3月10日には、130周年記念式典を行う予定です。同窓会員をはじめたくさん方にご来校いただき、在校生や保護者の皆さんと一緒にお祝いをしていただきたいと考えておりますので、そのころには、コロナ感染の不安がなくなっていることを願うばかりです。
 周年行事を行うにあたっては、同窓会から大きな大きなご支援をいただき、誠にありがとうございます。心より感謝申し上げます。具体的には、「創立130周年」と印字された記念品や学校紹介動画の作成に対する支援を検討されていると伺っています。
 ご存じのことと思いますが、ここ数年、当校の児童生徒数が減少傾向にあります。その理由としては、医療の進歩や、教育においてはインクルーシブ教育の浸透、社会全体においては合理的配慮提供の推進などが考えられますが、どれも、この社会がいい方向に向かっている傾向にあります。このような現状を踏まえ、今年度は、理療科の教員が県内各地域のハローワークや相談センターを訪問したり、市町村障害福祉担当者や障害者就業・生活支援センターなどの会議に参加したりして当校の周知活動を積極的に行っています。さらには、県内企業を訪問し、ヘルスキーパー制度の導入について検討いただくようお願いをしているところです。今回、同窓会にご支援いただく学校紹介動画については、こういった周知活動に活用していきたいと考えております。
 最後になりましたが、同窓会の皆様のご健康とご健勝をお祈りして、寄稿文とさせていただきます。130周年記念式典・同窓会総会でお会いできることを楽しみにしています。
同窓会誌「星影」第215号(令和5年9月20日発行)より
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