職業教育研究年度取組

☆はじめに

当校の高等部では、スローガンである『働く人になろう』を目指して、学部全体の支援や指導方法を日々改善してきました。多くの先生方が「働くために必要な力は何か?」、「その力を育むためには、どのような支援方法がよいのか?」等と話し合い、実践してきました。

また、西濃高等特別支援学校開校にあたり、本校職業コースは令和元年度末に閉鎖され、普通コースに一本化されたことで、学ぶ生徒の実態は多様なものとなりました。一人一人の生徒が成長していける学習環境を整えていくことが当校高等部の課題になっていました。

 

☆令和元年度の取組

令和元年度は「働くために必要な力は何か?」というテーマで地域の企業やA型事業所と意見交換を行いました。地域の企業やA型事業所の見解と本校が今まで積み重ねてきた内容をマッチさせて『働く力チェックリスト』を作成しました。見解をいただいた企業やA型事業所は以下の3つの事柄を重要視されており、『働く力チェックリスト』は3つの事柄を意識したものとなりました

このように、企業やA型事業所が重要視していることは、どの職場でも必要とされる事柄であり、上記の3つの事柄が身に付いていれば、仕事上必要となる技術(例:清掃業務ならば掃除をする力、製造業務ならば機械を扱う力等)は就労後に研修や繰り返しの業務で問題なく身に付けていくことができると助言をいただきました。

『働く力チェックリスト』(企業・A型事業所)はこちら

 

☆令和2年度の取組

次年度には「働く力チェックリスト」を活用して、生徒による自己評価と担任による他者評価を年間に2回行いました。評価の基準については、右表のように5点から1点までの差が明確になるようにしました。

現場実習中の生徒の様子を家庭や事業所が評価し、日々の学校での様子を担任が評価しました。その上で生徒の自己評価と比較することで、生徒の得意なことや苦手なことを把握していくことができました。

生徒個々の課題点を明確にすることで、生徒一人一人に合わせた改善策を考えて取り組み、高評価を得た項目については指導や支援を継続的に行っていくことにしました。さらに、自己評価が低く課題意識が強い生徒には自信をもつことができるきっかけとし、自己評価が高く課題意識が弱い生徒については自身の課題を知るきっかけとしました。

 

☆令和3年度の取組

令和2年度と同じ方法で研究を行いました。企業やA型事業所、家庭からの評価の観点を変えないことで、令和2年度との比較をすることができ、これまでに重点的に取り組んだ支援や指導の有効性を確認することができました。

『令和2年度と令和3年度の比較』(令和2年度重点項目)はこちら

チェック項目の内、特に「失敗時には、即時、正確な報告をすることができる」という項目については、評価を上げることができました。作業学習開始前に間違えたときには「すみません、間違えました。確認をお願いします」や、教えてもらったときには「ありがとうございました」等の状況に合わせた報告の言葉を唱和する練習に取り組んだ結果と考えています。作業学習開始時にそれぞれの状況に応じた報告の言葉を唱和する練習に取り組むことで報告の習慣を身に付け、評価を上げていくことができたと考えています。

次に「注意・指摘・指導を受け入れ、行動に移すことができる」という項目について評価を上げていくことができました。指導としては、2重指導(失敗した原因を自覚させるなかで、聞く態度について指導をする)を避け、一つずつ分かりやすい言葉で伝えました。

更に令和3年度は、現場実習に協力いただいている福祉事業所にもアンケート(『働く力チェックリスト』(B型・生活介護事業所)を実施しました。その結果、B型事業所は特に「手順を守ること」、「自分の思いを伝えること」の2項目、生活介護事業所は「一人で移動すること」、「座って作業を続けること」の2項目を重視していることが確認できました。

日頃の作業学習で、「手順を守り丁寧に作業をすること」、「座って作業を続けること」は、いずれの作業班でも取り組んでいる「願う姿」であります。また、作業学習だけではなく生活単元学習や各教科の授業でも、自分の思いを伝えることができるように、「自己決定」や「コミュニケーション」等について、重視して取り組んでいます。このように学校で重点的に取り組んでいる内容と就労先の重視している内容が適合していることが確認できました。さらに、このような力を育んでいくことができるように、学校、家庭、進路先等が協力して児童生徒の将来を想像しながら、常に支援を見直していきます。

 

この研究内容についてのご質問やより詳しい内容を知りたい時は高等部主事か作業主任へお願いします。

電話番号  0584-89-4816

アドレス c27371@mx.gifu-net.ed.jp