平成18年度 サイエンスリサーチU(2年課題研究) 研究内容の要約

研究テーマ メンバー 指導者
11物理 スタ−リングエンジンの製作 安藤・伊藤 山本
 スターリングエンジンは外から加熱し温度差を作って動かすエンジンである。
(1)容器にスチール缶・パワーピストンに注射器、ピストンに発泡スチロールを使った。アルコールランプで熱すると発泡スチロールが熱に弱かったため、縮んでしまい失敗。(2)ピストンを熱に強くて軽いバルサ材に変えた。アルコールランプで熱するとバルサ材から水分が出て、注射器の間に入ってしまったために動かなかった。(3)低温度差で動くエンジンを作った。プラスチックの容器、パワーピストンに注射器、ピストンに発泡スチロールを使った。ウォーターバスで加熱すると、エンジン全体が暖まってしまって動かなかった。(4)金属で2ピストン形のエンジンを作った。調整中である。
12物理 プラズマと光 河野・樋田・西尾 高木
 光の波長(スペクトル)をパソコン上のグラフに表せる機械(分光器)を使って光の波長について調べた。電球のような高温の固体が出す光を測定するとグラフが山のようになっていた(連続スペクトル)。アルゴンなどの気体のスペクトル管の光は線のようになっていた(線スペクトル)。気体でない物質については電子レンジで火の玉を発生させ炎色反応を起こし、その光(炎)の線スペクトルを調べた。
 スペクトル管の中の気体も、電子レンジの火の玉もプラズマになっており、プラズマの出す光には物質ごとの特定のスペクトルがある。
13物理 ソーラーカー 間・藤井・大野・山口 山本
 木を削って作ったタイヤ、アルミ棒を切って作ったシャフトなどを組み合わせて作った。タイヤ作りとバッテリーを固定するための準備に特に時間をかけた。精密に作るためには細かい作業が必要なので、ミリ単位で正確に部品を作った。丁寧に製作したことにより静かに走るソーラーカーを作ることができた。
14物理 音が身体に及ぼす影響 今井・桑原・小板 高木
聴く音の違いによって、身体にどのような変化が表れるのかを知ろうと、この研究を始めた。
聴いた音は、高音と低音の純音、リラックスできる音楽と不快な音で、それらを聴いたときの体温、血圧、脈拍の変化を調べた。
結果:音(音楽)は、体温、血圧、脈拍に影響を及ぼした。
15物理 ルーバーフィルム 今井・可知・三宅 山本
 携帯のメールブロックなどに使用されている「ルーバーフィルム」について調べた。実際に、自分たちでモデルを作ってみて、「PETフィルム」の中に「特殊ルーバーフィルム」をはさむことによってメールブロックのような構造のものが出来上がっているということがわかった。また、ルーバーフィルム(ルーバー構造)は、日常生活の中でも使用されており、自分たちの生活に役立っているものだということもわかった。
16物理 モアレ 土屋 高木
 波の重なりによって視覚的に生じる模様、モアレを、スクリーントーンを使って作り、元のトーンの模様、重ねる角度によって生じる模様の違いを調べた。その発展として、より身近なテレビやパソコンの画面上に生じるモアレを調べた。トーンの種類、密度によって生じる模様が違うこと、デジタル機器を使うことで色や線が生じることがわかった。
21化学 お茶の香り 安藤・長谷川 日比
 香りの違いと成分の違いの関係について調べた。同じ原料で異なる香りができるお茶は、香りの違いと成分の関係がわかりやすいのではないかと考え、お茶を使って研究をすることにした。4種類の抽出方法を使い、さまざまな種類の茶葉の香りを抽出した。抽出した香りをガスクロマトグラフィーで、定性分析を試みた。しかし、ピークが一度に出てしまい分析ができなかった。これは香り成分の沸点が低すぎるために成分の分離ができなかったからだと考えられる。カラムの長さや温度、ガス流量を調節すれば分析できるかもしれないので、今後の課題である。
22化学 酸性雨 川ア・原・古橋 下総
 レインゴーランドという雨を集める道具を使い、敷地内の雨を集め、pHと亜硝酸濃度を測定した。本校のpH濃度は、多くの日で酸性雨の基準であるpH5.6以下が測定された。また、亜硝酸濃度測定結果からも恵那での雨は酸性雨ということがわかった。
23化学 燃料電池 柄澤・木村・林・細江 岩川
 クリーンエネルギーとして期待されている燃料電池の製作を行った。全てで4つの燃料電池を製作し、電気を得ることができた。製作した電池のうち、3つからそれぞれ取り出すことのできた電圧はほぼ同じような値(10mV前後)だったが、1つだけ約75mVを記録したものがあった。
24化学 宝石大発見 加藤・川合・西尾・横幕 西尾
 アルミナを主成分とし、少量の酸化クロムまたは酸化チタン、酸化鉄を含む結晶であるルビー・サファイアを実験室でつくることを試みた。最初これらの他に溶媒として氷晶石を入れることにより、アルミナの融点を下げアルミナるつぼを用いて実験を行った。その後、信州大学の大石教授にアドバイスをいただき、アルミナを入れないでアルミナるつぼから溶け出すアルミナを主成分とし、三酸化モリブデンを溶媒とする実験に変更し改良を加えた。しかし、ルビーと思われる結晶をアルミナるつぼ内から取り出すことは難しかった。
25化学 微生物電池 岩川
 植物が行う光合成や呼吸などのエネルギー生産を行う反応は、植物内の一連の電子伝達系によって行われる。膜構造が単純な藍藻を用いて、細胞内の光合成で生じた電子を電気エネルギーとして取り出す微生物電池を作成した。電池となる水槽、藍藻を育てるための培養液、電池の組成液を作成した。作成した電池を用いて電流を計測したところ、微弱ながら電流を確認できた。その電流が、光合成で発生した電気を電池として外部に取り出したものであることを確認した。
26化学 ルビーをつくろう 足立・足立・松原 西尾
 学校にある設備で人工ルビーを作ることを目的とし、実験を行った。様々な方法で実験を行ったが、最終的には信州大学でいただいたアドバイスをもとに、酸化モリブデンを溶媒とする蒸発法で実験をした。この方法では溶媒を徐々に蒸発させることで酸化アルミニウムの結晶(ルビー)を作ることができる。この方法で実験を行い、約0.5o大のルビーと推定される結晶を作ることに成功した。
27化学 香りの研究 永冶・安江 日比
 人はよい香りとよくない香りの区別をどのようにするのか、またよい香りに共通する成分はあるのか調べた。
 比較的抽出しやすい柑橘系の香りの抽出実験から始めたが、研究をすすめる中で時間が経過すると香りが変化するものもあり、物質自体が変化するのではないかと思い、構造変化させると香りがどのように変わるのかを実験をしたいと思った。お茶の水女子大学の山田眞二教授にメールを送り詳しい資料を送っていただいて実験した。柑橘類に多く含まれるリモネンを使って構造変換実験した結果、香りの違う液体が得られた。
28化学 金属樹 佐々木・谷口・田村・花井・吉村 西尾
 金属のイオン化傾向を利用して、水溶液中の金属イオンを結晶化させることができる。結晶が樹枝状に広がりながら析出するため金属樹と呼ばれる。しかし実際には綺麗な樹枝状にはならないため、反応させる金属の組み合わせ、濃度、温度、容器の形状を変え、どのような条件で反応させれば綺麗な樹枝状結晶がみられるかを実験し比較した。その結果、試験管中ではもろく崩れてしまうが、ろ紙を使って平面上に析出させることで、美しい結晶を固定することに成功した。
29化学 サリチル酸メチルの比色定量 釜田・田口 西尾
 サリチル酸メチルは水に溶けにくいが、エーテルに溶かしてから水を加え、加熱によりエーテルを蒸発させることでサリチル酸メチルの濃度を変えることができた。それを塩化鉄(V)で呈色し、522nmの波長で検量線を作った。実用例として、市販の外用消炎鎮痛薬の中に含まれているサリチル酸メチルを定量した。
31生物 サボテンの秘密 鈴木・早川 近安
 サボテンは今まで学んできた植物とは見た目が全く違うので、分類や内部の構造について興味を持ち、研究テーマにした。分類や構造を調べるために、表皮や根、細胞などを観察した。その結果、サボテンが双子葉類であること、茎はとげ以外の地上部であること、とげが葉の退化したものである可能性があること、頂点部から伸びるように育つことがわかった。
32生物 もやしと音の関係 安田・吉田 近安
 もやしを大豆の状態から発芽・生長するまでの2週間、1日4時間ずつ音楽を聞かせ、聞かせなかったときと比べて、伸びに差はあるのかを調べた。音は物理的な刺激であると仮定し、「植物は音による振動で影響を受けるか」に目を向けてみた。流す音楽は曲想の異なる、ロック、ピアノ曲、沖縄音楽の3曲にした。
 実験の結果、音楽ありのもやしの約半分が音楽無しより大きく育つという結果が得られた。しかし振動数が大きいロックより沖縄音楽のときの生長が大きく、仮説が正しいか確証を得るには至らなかった。
33生物 DNA 石子・杉浦 山田
 DNAの抽出実験を行った。まず、ブロッコリーを始めとする野菜や魚のDNA抽出実験を行った。初めて見たDNAは1本ではなく束になっているものだった。それらは肉眼で見ただけでは、形や大きさで違いを確認することが出来なかった。
 次に「カリガネエガイのDNA実験」に取り組みたいと考えた。それは、カリガネエガイという貝の赤血球のRNAを逆転写し、DNAを複製してたんぱく質を作るというものである。そこで、沖縄での研修を利用して自分たちで貝を採集したり、アサリの血液タンパク質を抽出したりしてみた。高知大学の藤原滋樹先生から、メールでの指導を受けたが学校では十分な薬品や器具がなく、この実験を行うことは出来なかった。
 生命科学セミナーで森林文化アカデミーの宮崎由佳先生に指導していただき、ゲンジボタルのミトコンドリアDNAを用いた「DNA鑑定」を体験した。これを応用して魚のアジからDNAを抽出し、そのサイズを確認出来ないかと取り組んだ。
34生物 色彩心理 荻野・小池・西尾 近安
 カラーセラピーといって、色を見ることで病気をなおすということが行われているので、本当に色による身体への影響があるのかを調べるた。色に対するイメージのアンケートと人体実験、百マス計算を行った。その結果、アンケートから得た、色のイメージに伴う変化が実験にもみられた。また、実社会にも応用されていることがわかった。
35生物 果物のビタミン 可知・夏目・服部・原・水野 山田
 果物の種類別のビタミンCの量、加熱前後のビタミンCの量の変化を調べるため、インドフェノール摘定法を用い、7種類の果物で比べた。その結果、りんご・梨・オレンジ・ぶどうよりグレープフルーツ・レモン・キウイの方がビタミンCの含有量が多いことがわかった。また調べた果物の多くが、加熱後にビタミンCの含有量が増えることがわかった。
36生物 細胞融合 仙石・三宅・河合 山田
 植物細胞をプロトプラスト(細胞壁を破壊した裸の細胞)の状態にし、異種の植物の細胞同士を融合させるという研究を行った。結果、プロトプラストの作出及び、融合した細胞の融合細胞の作成に成功した。
37生物 珊瑚 鈴木・青山・市川・橘・鈴木 近安
 珊瑚の成分である炭酸カルシウムの中に二酸化炭素が含まれているということに気づき、そこから珊瑚に含まれている二酸化炭素固定量から吸収した二酸化炭素量をもとめて、その二酸化炭素の量を地球規模に換算してみることで、珊瑚が環境に及ぼす影響について調べた。
41数学 身近な確率統計 伊藤・阪本 小池
 2人がはぐれてしまったとき、“1人が相手を探して動いた場合と、2人とも動いた場合ではどちらが早く出会えるか”という問題を数学的に明らかにするために、十進ベーシックを使ってパソコンで調べた。
 筆算では計算量が多すぎてとても計算できないため、20×20の座標平面上で人に見立てた点を動かすプログラムを使用して、2人が出会うまでの回数を調査したけ結果、“1人が動かず1人が動く場合”と“2人とも動く場合”では出会うまでの時間は変わらないことが分かった。
42数学 折り紙の中の数学 水野・宮崎 鈴木
 身近な折り紙を使って  (1)三平方の定理を利用した平方根の作図  (2)辺の比を利用した角の3等分(60°の作図)と紙上に表現可能な最大の正三角形の作図  (3)角の5等分(36°の作図)と正五角形の作図  について研究を行った。今回の研究では,紙を切ったり長さを測ったりすることなく,紙を折ることのみで平方根や正多角形の作図が可能だということがわかった。
51地学 The riddles of the universe 安江・山村 小池
 ビッグバン宇宙論を証明することを目的に研究を進めてきた。ビッグバンが本当にあったのなら、宇宙は今でも膨張し続けているはずだと考え、ハッブルの法則を利用して証明をすることにした。これは、銀河までの距離は銀河の後退速度に比例する、というものだ。実際にいろいろな銀河の後退速度をドップラー方程式を利用して調べてみると、確かに距離に比例していた。この結果より、宇宙は膨張していると考えられる。
52地学 オ−ロラ 今井・富永・野村・小川 高木
 真空実験機の中の空気を真空ポンプで抜き、真空状態にして、誘導コイルで電流を流した。すると、むらさき色のオーロラができた。条件(気圧、放電電圧、磁石、気体の種類、電極間の距離)を変えてオーロラを発生させた。実験から 1.気圧が低いところにオーロラができる 2.電圧が高いとオーロラができやすい 3.磁力がないとオーロラができない 4.オーロラの色は気体の種類が関係している などのことがわかった。
53地学 季節ごとの気象観測 石川・岡本 三宅
 季節による気候の特徴を調べた。
 自分たちが住む三つの地域にそれぞれ気象観測装置を設置し、温度、湿度、気圧を観測し、得た観測結果を表・グラフにまとめ考察をした。そこから温度・湿度・気圧は冬と夏を比べたとき異なった特徴をもつということがわかった。
54地学 太陽観測 春日井・志津・三宅 小池
 太陽を観測して、プロミネンスの数、高さ、黒点係数を調べた。そこで、太陽活動とこれらの関係について考察した。これらの間にはっきりした関係はなかった。その理由を調べた。
55地学 電波でみる流星 浅岡・安田 小池
 流星が流れると、電離層が形成されFM電波を反射する。この現象を利用して流星を観測した。その結果、継続して流星観測を行う事ができ流星活動にも日周変化があって、それはサインカーブに近いものになる事がわかった。地球は自転しながら公転しているため、地球の朝方の方が夕方の方よりも地球上の単位面積当たりに受ける宇宙の塵の量が多くなる。したがって、地球に降る流星の量も朝の方が多くなると考えられる。
 地球上では同じ面積であっても、自転のために公転方向に垂直な面積が変化する。この変化は公転方向と観測点のなす角θを用いて、(公転方向に対する面積)=(観測点の面積)×sinθのように表すことができ、サインカーブになると考えられる。


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