平成28年度 入学式 学校長式辞

学校長式辞(H28.4.8)

「飛騨から世界を望み、地域社会の持続可能な発展に貢献する」

飛騨の盆地を取り巻く山々の雪も溶け、校内には、フキノトウが元気に顔を出し、春の息吹が感じられます。桜のつぼみはすでに熟し、古川祭りのお越し太鼓の音が聞こえてくるのを待っているようです。

この良き日に、布俣(ぬのまた)県議会議員様、小倉飛騨市副市長様はじめ、多数のご来賓の皆様、そして保護者の皆様方のご臨席のもと、平成二十八年度 岐阜県立吉城高等学校入学式を挙行できますことは、この上ない喜びであります。高いところから失礼ではございますが、ご参列いただきました皆様に心からお礼申し上げます。

さて、ただ今、入学を許可しました百四十二名の新入生の皆さん、吉城高校入学おめでとうございます。本校を代表して心よりお祝い申し上げます。

本日の皆さんの喜びは、皆さん一人一人のたゆまぬ努力の結果ですが、その努力を支え、時に厳しく、時に温かく導いてくださった中学校の先生方、そして陰に陽に、みなさんのことを温かく見守り、育ててくださった保護者、家族の皆様のおかげです。皆さんはこの感謝の気持ちを決して忘れないでください。

皆さんが入学された吉城高校は、今年度で創立六十八年目を迎えます。卒業生は一万二千人を超え、地元の飛騨、高山、岐阜県はもとより、全国そして広く海外でも活躍しております。皆さんも吉城高校での3年間の様々な体験や学習を通して、世界がさらに広がっていくことを期待しております。

ところで、「井の中の蛙、大海を知らず。」という言葉は皆さんが良く知っている言葉ですが、この続きがあることをご存知でしょうか。「井の中の蛙、大海を知らず。されど、空の深さを知る。」です。「されど空の深さを知る。」…

実は井戸の壁は望遠鏡のような役割をして、井戸の底からは昼間でも星を見ることができるのだそうです。井戸の中のカエルは海を知らないけれど、彼らには星が見え、海よりも広い宇宙が見えるということです。

皆さんは、飛騨神岡のトンネルの中で、日本の頭脳である東大や東北大学の研究者が、ニュートリノや重力波を観測し、歴史的な成果を上げたことをご存じのことと思います。

吉城高校は、飛騨古川の古い街並みを見下ろす山の中腹の小規模な高校です。しかし、その小さな学校の教室の中の学びで、世界中の地理や社会、経済、文化や歴史を知ることができ、地球のどこでもコミュニケーションがとれる語学力を身に付けます。生命の神秘や物の性質、地球や宇宙など、あらゆることに関する真理や探究の手法を学びます。また、学校行事などを通して、仲間と協力し、一緒に創り上げることの大切さや喜びを知るでしょう。

どうかこの古川の地から世界を見て、自分が学ぶ意味や、将来果たすべき役割を考えてください。そして、それを支え、井戸の底から宇宙を見せるのが我々教師の役割です。外に行かなくても、吉城高校には全県から優秀な教師が集まっています。君たちのために大いに利用してださい。

吉城高校に入学される皆さんには、高校生活でのお願いが2つあります。

1つは、失敗を恐れずに挑戦すること。皆さんは成長し続けています。中学生の時にできなかったことが、学びを重ねることでできるようになります。そして、知識や能力を身に着けると、さらに視界が広がり挑戦すべきことが見えてきます。人生は挑戦の連続です。勿論、失敗もあると思います。でも高校での失敗は、貴重な経験として、皆さんをさらに成長させる糧になります。そして失敗をフォローし、そこから学ばせてくれるのも我々教師の役割です。

そしてもう1つのお願いは、そうして皆さんが学んだ知識や能力を、誰かのために役立ててください。吉城高校では、昨年度より、飛騨市と連携しながら、地域の観光や福祉、教育、防災等について、地域の活動に積極的に参加しながら、地域の課題解決に貢献するための取り組みを始めました。これらの活動は、皆さんが将来、持続可能な社会の形成者として、地域を支え、地域の発展に貢献できる有意な人間となるために大切な学習だと考えています。

吉城高校の校訓は、「行学一致(学んだことを行動に移すこと)、自主・創造、そして心身の錬磨」です。吉城坂の毎日の登下校は、始めはきついかもしれませんが、きっと皆さんの足腰だけでなく、強靭な精神を鍛えてくれるでしょう。どうか、本校の校訓の意味をかみしめて、入学の決意を新たにしてください。

最後に、保護者の皆様、お子様のご入学本当におめでとうございます。ここまで育てていただいたご苦労に対しまして、心より敬意を表すとともに、今後三年間、本校職員一丸となり、誠意を持って、教育に当たりますことをお約束いたします。

入学後、お子様に苦しい時や辛い時があるかも知れません。その時は、家庭と学校が協力しながら、励まし、支え、適切なアドバイスをすることによって、お子様の成長が確かなものになると考えます。今後とも本校の教育に一層のご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

「われらが吉城高校に 見よ栄光の未来あり」と校歌に歌われているように、新入生の「栄光の未来」を願って、式辞といたします。

平成二十八年 四月八日   岐阜県立吉城高等学校

校長 鈴木 健